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  シーン設計工房・一級建築士事務所  
    ●集合住宅建設のためのアドバイス
     
  12.デザイナーズマンション建設の注意点

普通のマンションと差別化を図るために、建築家に設計を依頼し、デザイン性の高いマンションをつくれば、事業に成功するわけではありません。

建築家が収益性をかえりみず、建築費のかかるデザインに走ったり、かっこは良いけれどメンテナンスが困難な建築を造れば、収益を圧迫することになりかねません。

建築としての素晴らしさはもちろん重要ですが、それだけでは賃貸経営事業の成功にはつながりません。

収益型の建築に必要な建築家の力は、建築家が自分の作品をつくることではなく、オーナーさんの賃貸事業の安定性・収益性を向上させる為の、建築家のデザイン力です。

コストバランスをきちんと考え、メンテナンスに考慮したデザインにすれば、周辺マンションと差別化がはかれ、町並みに貢献できるような良い集合住宅になると思います。
 
 
 
   13.分譲マンション並の仕様?

差別化をはかるために、「分譲マンション並の仕様です」と宣伝している賃貸マンションが良くあります。
はたしてこれは差別化になるのでしょうか?

ほとんどの分譲マンションの中には、賃貸として貸している部屋が必ずあります。
それは分譲マンションを建てる時、地権者さんが等価交換という方法で何件か所有していて、それを賃貸の部屋にしている場合や、転勤のため等で自宅を賃貸にしている部屋があるからです。

また、投資の目的で分譲マンションを購入し、賃貸としている部屋も多くあります。
よって、分譲マンション並の部屋に住みたいのであれば、そのような賃貸物件を探せば良いのです。

このような物件がたくさんある時代、分譲マンション並の仕様にしても、競争力はあがりません。
今や、分譲マンションに無い仕様のマンションを造っていかなければ、差別化をはかることができません。

では、分譲マンションにもない仕様とは?
 
   
 
   14.本物の材料を使う=分譲マンションに無い仕様

シーン設計工房では本物の材料を使うことを心がけています。
床のフローリングも無垢材を使っています。
壁や天井もビニールクロスは使いません。
これは分譲マンションには無い仕様です。

無垢材のフローリングは、ハウスメーカーやデベロッパーの分譲マンションではほとんど使われません。

フローリング貼と書かれていても「合板フローリング」と言って、表面だけ薄くスライスした木が、ベニヤに貼ってあるフローリングです。
合板なので「くるい」が少ないですし、張物なのできれいな木だけを使い、きれいに見せることができます。

それに比べ、無垢材は木の色むらもありますし、木が生きているので、湿度により伸縮もあります。
夏場はきっちり敷き詰められていますが、冬場乾燥した時期は板と板の間に隙間が生じることがあります。
これが消費者からクレームの対象になることがあるので、分譲マンションでは使用しないのです。

「引渡し時に一番きれいな状態の商品」としてお客様にお渡しするには、合板フローリングのほうが見栄えが良いです。

しかし、合板フローリングは竣工時が一番きれいですが、傷がつけば下の合板が見えてみすぼらしくなります。
表面の張物がはがれてくれば、ベニヤの床になってしまいます。

それに比べ、本物の材料は年数がたつほど味が出てきます。
傷がついても、中まで本物ですから古くなってもみすぼらしくならず、かえって経年変化で味がでてきます。
また、木がもつエネルギーなのでしょうか、不思議なことに張り物のフローリングとでは、足ざわりも明らかに違い快適です。

ただし、本物の良さを理解してくれる入居者をターゲットとしたマンションでなくては、本物の材料を使うのはお勧めしません。

このように本物の材料を使うことは、入居者ターゲットを絞り、分譲マンションにない仕様にする場合の、ノウハウの一つとなります。
 
   
 
   15.本物の材料を使う=環境への配慮

床のフローリングに無垢材を使うことや、壁や天井にビニールクロスを使わないことは環境への配慮につながります。

通常、入居者が入れ替わる時、壁が汚れているとビニールクロスを張り替えます。
床の傷が目立つようになると、床材を張り替えます。

その都度、はがしたものは大量のゴミとなります。
新たに貼る石油製品のビニールクロスや合板フローリングを生産するためには、少なからずCO2を排出します。

シーン設計工房の仕様では、できる限りビニールクロスを使わず、壁、天井は水性のペンキ仕上げ又は、構造を生かしたコンクリートの打ち放しです。
入居者入替えの際、壁が汚れていればペンキを塗り替えればすみます。
打ち放しコンクリートの場合は、クリーニングだけですみます。
張替えのゴミは一切でません。

また、床の無垢材フローリングは、張り替える必要はありません。
たとえ傷がついても、中まで本物なので気になりません。
傷がつくことにより、無垢材であることが確認できます(笑)

何年か経って、多くの傷がついた時は、表面を削り直すことにより、元のきれいな木肌が現れます。

このように入居者入替え時に張り替えの必要がないことは、環境への配慮にもなりますし、また張替えの費用が発生せずオーナーさんへの負担も軽減できます。

確かに初期の建設コストはかかりますが、物件に付加価値をつけることができる上、ランニングコストを削減できることは、事業としてメリットが生まれます。
そして環境問題が叫ばれる昨今、オーナーさんが環境へ配慮している姿勢をアピールすることもできます。
 
     
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